“ビジネス法務エキスパート”レベルが語れる話なのか? と疑問ではありますが、Comit International Olympique(コミテ アンテルナショナル オリンピック)の国際登録商標、美津濃の登録商標として登録されている「OLYMPIC」を日本において会社名として「株式会社Olympicグループ」および傘下の「株式会社Olympic」が使用しています。
商業登記法 第二節 商号の登記
(同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止)
- 第二十七条
- 商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。
という制限があるぐらいです。
「株式会社Olympicグループ」や「株式会社Olympic」が“会社概要−沿革”を見る限り「株式会社オリンピックショッピングセンター」として設立され、現在の商号は「オリンピック」ではありませんから小売業を営む現状では提訴されないでしょう。スポーツイベントなどを主催・実行する場合とか広告業を営めば、不正競争防止法を根拠に差止請求や損害賠償を求めて国際オリンピック委員会が提訴。自社で野球用具などのスポーツ用品を製造すれば美津濃から提訴される可能性がありますが。
- にしし ふぁくとりー Sakura scope
- 「オリンピック」表記、「五輪」は可だとずっと聞いてきたけど
「株式会社Olympicグループ」は関東地盤の小売グループなのでどんな雰囲気なのか店舗の様子は分かりませんが、WEBで公開されているチラシを見る限りでは「Olympic」の社名は入っていますが「9月のお買得品」「秋のくらし応援」というお題で商品が列挙されており「オリンピックキャンペーン」はしていない模様です。
広告事業者の Comit International Olympique からの訴訟リスクを回避して「オリンピックキャンペーン」などの広告をやりたいならば、日本放送協会などのようにスポンサーになるしかないですね。にしし先生もご存じの通り、NHK7時のニュースなどで「オリンピックマーク」を映像の隅に使用して堂々と報道していますし、Panasonic はスポンサーなので商品にマークを貼るらしいですね。
スポンサー企業ではない場合は「A社」のように自粛するのが訴訟リスク回避には有効だと思います。IOCやJOCと対立しても構わない“そんなの知らねぇ”と思う人は“どうぞご自由に”。検索で引っかかったのは2000年のシドニー五輪で、公式スポンサーではない航空会社の広告に対して公式スポンサーが提訴したエピソードが掲載されました。その後の判決まで掲載されていれば参考になるのだけど。
私もお題を使って、訴訟リスクを回避しつつのコメントなのでした。
初出:「オリンピック」表記、「五輪」は可だとずっと聞いてきたけどへのコメント 2013年9月14日大阪市西区に非上場の「株式会社オリムピック(英文社名: OLYMPIC co., ltd.)」という釣具の開発・製造及び販売・ゴルフシャフトの開発・製造販売などを主な事業としている会社があります。
昭和11年(1936)6月8日に日本で出願された「オリムピック 五輪マーク」付きで商標登録されていて、商標権者は Comit International Olympique となっているようです。ただし、指定分野には釣具・ゴルフシャフトは入っていませんし、「株式会社オリムピック」は、五輪マークは使っていないので棲み分けはできているようです。さて、前述の「Olympicグループ」や「オリムピック」が自社名を全面に出した広告を出稿することについては問題は無いと私は思います。というか社名を一切隠してしまうと消費者保護の観点から法的責任が発生する可能性があります。
とはいえ、Comit International Olympique や JOC が不当に権利を侵害したとか訴訟して勝てるぐらいのことをされていないのであれば、なにせ潤沢な資金と政治力を持った組織が相手ですので争わないのがよろしいかと思います。
あらかじめ、JOC などの間で話し合いとか持たれており、線引きがされているかもしれませんが、当事者でない私には公表されていなければ、あずかり知らないところです。
こうやって考えたり発表することについては“表現の自由”ですので訴訟リスクを回避しつつコメントするのでした。
初出:「オリンピック」表記、「五輪」は可だとずっと聞いてきたけどへのコメント 2013年9月16日