週刊水曜日[Hatena Blog]

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映画「トータル・フィアーズ」の新聞掲載記事と実際に見て思った事

トータル・フィアーズ - Wikipedia

2002/08/21 (Wed) 19:57:45
トータル・フィアーズ」の映画について広島の地方新聞「中国新聞http://www.chugoku-np.co.jp/ 朝刊2002年8月18日号に掲載されていました。
この記事のような“ヒロシマ”ぽい見方をする人は少ないと思うのでご紹介したいと思います。
ただ、この囲み記事についてはwebに公開されておらず残念ながらたどれませんので次に載せます。

2002/08/21 (Wed) 20:02:11
中国新聞」 朝刊2002年8月18日号に掲載。

トータル・フィアーズ
核兵器の描写に違和感

 昨年九月十一日の米中枢同時テロ以
降、恐怖と報復の忌まわしい連鎖が広が
る。そうした中で、米ロの首脳が核兵器
の発射ボタンを押すか否かのせめぎ合い
を、現実さながらに描く。
 全米新春のビッグイベント、スーパー
ボウルの熱狂に包まれたボルチモアで一
発の核爆弾が爆発する。一命を取り留め
た米国大統領は、ロシアの仕業だと見て、
直ちに最高レベルの警戒態勢に入る。一
方、ロシアの大統領も全軍に迎撃態勢を
敷く。核の攻撃を受けるという恐怖にか
られ、発射ボタンに手を掛ける両首脳。
それを防ごうと奔走するのが、米中央情
報局(CIA)の分析官ジャック・ライ
アン。核爆弾は、ナチズムを信奉するテ
ログループが持ち込んだ「メイド・イン
・USA」だと突き止めていく。
 「レッド・オクトーバーを追え!」に
始まるライアン・シリーズの映画化第四
弾。これまでのハリソン・フォードに代
わり、若手の人気スター、ベン・アフレ
ックがヒーローを演じ、原作者のトム・
クランシーが製作総指揮も務めた。
 崩壊するビル、焼けただれた市民、ボ
ルチモアの空を覆うキノコ雲。コンピュ
ーターグラフィックス(CG)も駆使し
た核爆発の場面はすさまじい。ところが、
放射能による「死の灰」が降る中を、ラ
イアンは駆け回る。ヒロシマナガサキ
との言葉が出るにもかかわらず、核兵器
が通常の爆弾と変わらない。違和感が募
る。エンターテインメントの世界と看過
することばできない。 (里田明美
 <広島など公開中>
[写真]
ライアン(ベン・アフレック)は米ロの
全面核戦争回避に向けて奔走する

2002/08/24 (Sat) 08:57:29
トータル・フィアーズ」の映画について広島の地方新聞「中国新聞http://www.chugoku-np.co.jp/ 朝刊2002年8月23日号(社会面・特報2002)に掲載されていました。
前回の『映画評のコーナーだけで終わりだな』と思っていたら、A4サイズぐらいのスペースでの記事です。
映画の記事は文化面にも掲載されることもあるのですが、社会面でちょっと驚いています。

今回も“ヒロシマ”ぽい特集記事です。
そんな平和問題に力を入れている中国新聞なんだから、webにも掲載すればいいのに、公開されておらず残念ながらたどれませんので次に(3.43KB)載せます。

2002/08/24 (Sat) 09:02:10
中国新聞」 朝刊2002年8月23日号に掲載。

公開中のアメリカ映画「トータル…」
甘いと指摘 核被害描写
ヒロシマでは賛否
受け止め軽い/お粗末
抑えた表現 怖さ伝わる

  この夏、核戦争の恐怖をテーマにしたハリウッド映画「トータル・フィア
ーズ」が全国で公開されている。米国大統領が観戦に出かけたボルチモア
スーパーボウル会場で、核爆弾が爆発する筋立て。核被害の描写をめぐって、
被爆国から見れば甘すぎる」との指摘が相次いでいる。当の広島の人たち
にはどう映ったのか。(増田泉子、里田明美)

[写真]
トータル・フィアーズ」を見終わって、
劇場を出る人たち(広島市中区)

  評論家はこぞって被爆
の表現に疑問を投げかけ
る。「爆心地であれだけ動
いた主人公に、放射能の後
遺症はないのか」(中国新
聞夕刊、秋本鉄次さん)、
「広島や長崎の人が見たら、
こんなものじゃないと腹立
たしさを感じるかも」 (週
刊新潮、坂上みきさん)…。
週刊文事では五人中三人
が、描写の甘さに言及して
いる。
  主人公の米中央情報局
(CIA)分析官、ライア
ンは、爆風で墜落したヘリ
コブターからはい出して、
放射能を含む「死の灰」が
舞う中を走り回る。爆心近
くで吹き飛ばされた恋人
は、ほとんど無傷。医者な
のに健康を気遭うそぶりは
ない。「風上にいれば安全」
といったせりふもある。後
日談のラストシーンでは、
元気な二人がいちゃつく。
広鳥市内の映画館で作品
を見た人に聞いた。
  「ライアンは、きっと死
にますね」と中学教諭松井
久治さん(四八)。「被爆直後に
携帯電話をかけたりして
…。よその国の人は疑問を
持たないのかねえ。原爆資
料館を見てほしいですね」。
大学生山本雄介さん(二〇)は
ヒロシマの現実が、軽く受
け取られている」と厳しい。
  目くじらを立てなくても
との考えもある。ライアン
シリーズのファンという会
社員岡本勝幸さん(四一)は
「映画だから仕方がないで
しょう。描き方は抑えてい
るけど、訴えたいことばわ
かる」。会社員大岡明さん
(二七)も「核の怖さば十分伝
わった」と話す。
  被爆者も見た。原爆資料
館の元館長高橋昭博さん
(七一)は、核問題を扱ってい
ると知り映画館に足を運ん
だという。「被害の描き方
がお粗末。あんなもんじゃ
ない」。しかし、「娯楽映
画でないと若者は見ない。
若い人に核問題を知っても
らうにはいいと思う」と作
品にば肯定的だ。
  これまでに核を爆発させ
たハリウッド映画がなかっ
たわけではない。「トゥル
ーライズ」は、きのこ雲を
バックにキスをし、「イン
デペンデンス・デイ」や「ア
ルマゲドン」は、異星人や
惑星を核爆弾で迎撃した。
  ただ、米国の地上で爆発
させ、「その後」をドラマ
にしたのは極めて珍しい。
  吉田喜重監督が原爆をテ
ーマに撮った「鏡の女たち」
の上映運動を手伝った公民
館職員福本英伸さん(四六)
は、米国が核のボタンを押
したがっていると感じたと
いう。
  「ハリウッド映画は、米
国のプロパガンダの側面を
持つ。映画にもあったはず
のモラルが、昨年の9・11
テロを経験して、この作品
で崩れたよう。まずいなと
思う」
  評論家の秋本さんも、「核
爆発映画」登場の背景に米
中枢同時テロを挙げる。「ア
メリカも攻撃の脅威にさら
されている。テロを上回る
衝撃は、アメリカ自身が被
爆国になる設定ぐらいしか
なくなった」
  映画の核爆弾は、一九六
〇年代に米国からイスラエ
ルに渡ったとの設定だ。米
国が自分でまいた種という
わけである。「ただ本当に
痛みの側に立つならば、放
射線被害についてせめてテ
ロップを入れるなどの瀧濾
があっていい。米国の倣慢
さへの批判が、身に染みて
わかっていない証拠」と解
説する。
 - - - - - - - - - - -
  《トータル・フィアー
ズ》ベストセラー作家トム
・クランシー原作の人気シ
リーズ第4弾。核爆発で一
命を取り留めた米国大統領
は、ロシアの仕業だと思い
込み、両国間で核戦争の緊
張が高まる。世界各地に出
所のわからない核兵器が散
在する現状で、核の危機管
理の難しさを描く。タイト
ルは「恐怖の総和」と訳さ
れている。爆弾は「広島型
よりは小さい」との設定。

2002/08/24 (Sat) 09:14:06
実をいうと私はまだ、映画を見てないんですよね。
ジャック・ライアン シリーズの小説では「日米開戦」「合衆国崩壊」「レインボーシックス」「大戦勃発」は読んでいるのに「恐怖の総和」は読んでないんです。

映画は「どうせ小説の半端なダイジェストでつまらないだろう」と思っていたのですが、今回の記事を見て“どんなに杜撰な核爆発とその後”の表現か見てみたくなりました。

2002/09/02 (Mon) 22:24:07
> 実をいうと私はまだ、映画を見てないんですよね。
なんて事を書いた私ですが、9月1日に見てきました。

一言で書くなら『そんなに映画としてはひどくないじゃん』って所でしょうか。

>後日談のラストシーンでは、元気な二人がいちゃつく。
007シリーズのラストみたいな『美女とワインと…』のような『“いちゃつき”に腹を立てているのか?』と思ったら違いましたね(笑)。核戦争にならなくて良かったという安堵の様子でした。元の記事は“元気”なのを否定したいのでしょうけど。

私としては 原爆資料館の元館長 高橋昭博さん の意見が現実的なんじゃないかと思う。
冷戦は終わったというけれど、核戦争が起こる可能性がなくなったわけではないということを見た人に考えてもらう。
(描写はお粗末かもしれないけれど)あの映画でのボルチモアの惨状が全面核戦争になってしまってアメリカ・ロシア…世界中と広がっていったら…と想像してもらうこと。そして核兵器軍縮核兵器の廃絶へ少しでも進んで行って欲しいと思うことが大切なんじゃないかと。

福本英伸さん秋本鉄次さんの意見は的外れだと私も思います。“ライアンの努力が無駄になって全面核戦争になって地球が滅亡する希望のないような映画”になったとしても同じ批判をしそうですよね。

確かに核爆発が通常の爆弾が大きい爆発をしたって描写に感じました。けど、地上での核爆発を体験した人の少なさ(多くても困りますが)を考えると仕方ないし、あまり真に迫りすぎた残酷な描写をして映画に年齢制限かけられて見る人が少なくなるよりはまし。

放射線については(パンフレットによると)井戸堀していて偶然爆弾を発見してしまった人しか放射線障害が発症していないのは不自然。
核爆発については、爆風と衝撃波はあっても吹き返しが無い?今度は爆心が低気圧になるので逆に風が吹くはず。
あれだけ(放射線降下物じゃないとしても)埃が舞っているのに防塵マスクとかで吸い込まないようにしないのか? 大統領を救出する海兵隊員?
やっぱり、都市機能が壊滅したと思われるのに携帯電話が使えるとは思えない。
って、ツッコミどころは多いけどね。

まとまっていませんが、こんな事を思いました。

ここまで 初出:野良犬の塒→[野良犬の溜まり場]

11:31pm 9/02/02

昨日9月1日に観てきた映画「トータル・フィアーズ」

まぁ所詮、娯楽映画なので難しく考えても仕方ないです。
トム・クランシーの原作小説を読んではいないのですが、まともに映像化しようとしたら2時間で収まるわけは無いとは想像できます。
ダイジェストになるのは仕方ない。
核爆発後のボルチモアの悲惨な状況を描写すれば、その後の『米ロの全面核戦争になってしまうのか?』というところで観客に緊迫感が出ると思われるけど、あんまり残酷だったら年齢制限で見る人が少なくなるより仕方ない。
って仕方ないばっかりだな。

『冷戦は終わった』って言うけれど『核戦争が起こる可能性がなくなったわけではない』ということを見た人が思えば良いのではないかと。

放射線については(パンフレットによると)井戸堀していて偶然爆弾を発見してしまった人しか放射線障害が発症していないのは不自然。核爆発については、爆風と衝撃波があっても吹き返しが無い?今度は爆心が低気圧になるので逆に風が吹くはず。
あれだけ(放射線降下物じゃないとしても)埃が舞っているのに防塵マスクとかで吸い込まないようにしないのか?>大統領を救出する海兵隊員?
やっぱり、都市機能が壊滅したと思われるのに携帯電話が使えるとは思えない。
って、ツッコミどころは多いけどね。

シネマコンプレックスの一番小さい200人ぐらいのスクリーンが7割ぐらいは埋まっていました。(この日の1回目の上映午後1時25分から)広島の地方新聞『中国新聞』が取り上げていたからなのか?

パンフレットは500円(税込)

初出:WANI-NET

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